【2026年度・答申】愛知県の最低賃金は時給1,195円へ|会社が今すぐ確認すべき5つのこと

愛知県の最低賃金について、2026年8月5日、愛知地方最低賃金審議会は、現在の時給1,140円から55円引き上げ、時給1,195円とするよう愛知労働局長に答申しました。

引き上げ率は4.82%で、中央最低賃金審議会が示した愛知県の目安額54円を1円上回る内容です。中央最低賃金審議会では、愛知県を含むAランク地域について、54円の引き上げ目安が示されていました。

今後、異議申出などの手続きを経て正式に決定される見込みで、報道によると、2026101日からの発効が予定されています。


愛知県最低賃金の改定内容

項目内容
現在の最低賃金時給1,140円
答申された最低賃金時給1,195円
引き上げ額55円
引き上げ率4.82%
発効予定日2026年10月1日

現在の愛知県最低賃金は時給1,140円で、2025年10月18日から適用されています。

今回の引き上げにより、小売業、飲食業、介護・福祉業などの小規模事業所で働く人を中心に、約26万人へ影響すると試算されています。

なお、2026年8月6日時点では、あくまで審議会からの「答申」です。正式な最低賃金額や発効日は、今後の愛知労働局からの発表を必ず確認してください。


最低賃金はパート・アルバイトだけの問題ではありません

最低賃金というと、パートやアルバイトの時給だけを確認すればよいと思われがちです。

しかし、最低賃金は、原則として愛知県内の事業場で働くすべての労働者に適用されます。

対象となるのは、例えば次のような人です。

  • 正社員
  • 契約社員
  • パート・アルバイト
  • 学生アルバイト
  • 外国人労働者
  • 試用期間中の従業員

月給制や日給制の従業員についても、賃金を時間額に換算し、最低賃金を下回っていないか確認する必要があります。


会社が今すぐ確認すべき5つのこと

1.時給1,195円未満の従業員を確認する

まずは、現在の時給が1,195円未満となっている従業員を洗い出しましょう。

ただし、時給が1,195円以上であれば必ず問題がないとは限りません。

最低賃金の判定では、次のような賃金は原則として計算に含めません。

  • 通勤手当
  • 家族手当
  • 精皆勤手当
  • 賞与
  • 時間外労働の割増賃金
  • 休日労働や深夜労働の割増部分
  • 臨時に支払われる賃金

最低賃金の対象となるのは、基本給をはじめとする「毎月支払われる基本的な賃金」です。総支給額だけを見て判断しないよう注意してください。

2.月給制の従業員も時間額へ換算する

月給制の場合は、最低賃金の計算対象となる月給額を、1か月平均の所定労働時間で割って確認します。

例えば、最低賃金の計算対象となる月給が200,000円、1か月平均所定労働時間が173.8時間の場合は、次のようになります。

200,000円÷173.8時間=約1,151円

この場合、時給換算額が1,195円を下回るため、今回の改定額が正式に発効すると、賃金の見直しが必要です。

1か月平均所定労働時間が173.8時間の会社では、最低賃金1,195円を満たす月給の目安は、約207,691円です。

ただし、会社ごとに年間休日数や所定労働時間が異なるため、一律に判断することはできません。必ず自社の就業規則や年間カレンダーをもとに計算しましょう。

3.人件費の増加額を試算する

時給が55円上がると、従業員1人当たりの人件費は、勤務時間に応じて次のように増加します。

1か月の勤務時間月額の増加年間の増加
80時間4,400円52,800円
120時間6,600円79,200円
160時間8,800円105,600円

これは賃金だけの単純計算です。

実際には、賃金額の上昇に伴い、会社が負担する社会保険料や労働保険料などが増える場合があります。対象者の人数を確認し、会社全体で年間どの程度の負担増になるのか、早めに試算しておくことが大切です。

4.既存社員との賃金バランスを見直す

最低賃金に近い従業員だけを引き上げると、これまで経験や能力に応じて設定していた賃金との差が小さくなることがあります。

例えば、入社したばかりの従業員が時給1,195円、長く働いている従業員が時給1,200円という状態になると、既存社員から不満が出る可能性があります。

最低賃金への対応をするときは、単に最低ラインだけを変更するのではなく、次の点も確認しましょう。

  • 勤続年数による賃金差
  • 経験や資格による手当
  • リーダーや管理職との賃金差
  • 正社員とパート社員とのバランス
  • 求人票に掲載している給与額
  • 昇給制度や賃金表

今回の改定を、会社全体の賃金制度や評価制度を見直す機会として捉えることも重要です。

5.年収の壁と勤務時間を確認する

最低賃金が上がると、同じ時間働いていても従業員の年収は増加します。

そのため、扶養の範囲内で働きたい従業員から、勤務時間を減らしたいという申し出が出る可能性があります。

人手不足の会社では、最低賃金を引き上げた結果、パート従業員の勤務時間が短くなり、シフトが組みにくくなることも考えられます。

対象となる従業員には早めに説明し、今後の働き方について個別に意思確認をしておきましょう。


助成金を活用できる可能性があります

最低賃金の引き上げとあわせて、生産性を高めるための設備投資を検討する中小企業・小規模事業者は、「業務改善助成金」を利用できる可能性があります。

業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金を引き上げ、生産性向上につながる設備投資などを行った場合に、その費用の一部を助成する制度です。2026年度についても制度が案内されています。

ただし、対象者、賃金引き上げの時期、設備の発注時期、申請期限など、細かな要件があります。

賃金を引き上げた後や、設備を購入した後では申請できない場合もあるため、利用を検討する場合は、必ず実施前に最新の要件を確認しましょう。


最低賃金の対応は「時給を変更して終わり」ではありません

今回の最低賃金引き上げは、小さな会社にとって決して小さな負担ではありません。

一方で、人手不足が続く中、賃金は採用や定着に大きく影響する重要な要素です。

最低賃金への対応をきっかけに、次のような点を見直すことが、これからの採用力や定着率の向上につながります。

  • 給与の決め方が従業員に伝わっているか
  • 頑張った人が報われる仕組みになっているか
  • 管理職やリーダーの役割に見合った賃金になっているか
  • 人件費を価格へ適切に反映できているか
  • 業務の効率化や省力化を進められないか

最低賃金が正式に発効してから慌てるのではなく、今のうちから対象者の確認、人件費の試算、雇用契約書や求人票の見直しを進めておきましょう。


愛知県の最低賃金・賃金見直しのご相談

Lif社会保険労務士事務所では、愛知県豊川市を拠点に、東三河・西三河地域を中心とした小さな会社の労務管理を支援しています。

「最低賃金を下回っていないか確認したい」

「月給者の時間単価の計算方法が分からない」

「人件費がどれくらい増えるのか試算したい」

「賃金表や評価制度も一緒に見直したい」

このようなお悩みがありましたら、お早めにご相談ください。

制度で会社を守り、対話で人を育てる“小さな会社の人事部”として、会社の状況に合わせた対応を一緒に考えます。

※本記事は2026年8月6日時点の情報をもとに作成しています。最低賃金額と発効日は、今後の正式な公示により変更される可能性があります。必ず愛知労働局などの最新情報をご確認ください。