【2026年度最新版】中小企業が活用したい助成金5選|申請前の注意点も解説

「社員を正社員にしたい」

「賃上げとあわせて設備を導入したい」

「社員研修を実施したい」

「育児休業を取得しやすい職場にしたい」

こうした取り組みを行う中小企業は、国の助成金を活用できる可能性があります。

助成金は、原則として返済する必要がないため、中小企業の人材採用、人材育成、賃上げ、職場環境の改善を支える有効な制度です。

一方で、助成金は申請すれば必ず受給できるものではありません。

取り組みを始める前の計画書の提出、就業規則の整備、賃金台帳や出勤簿の管理など、制度ごとに細かな要件が定められています。

この記事では、2026年8月2日時点の情報をもとに、中小企業が活用を検討したい5つの助成金を分かりやすく解説します。


2026年度に注目したい助成金一覧

助成金主な活用場面
キャリアアップ助成金パート・契約社員の正社員化、社会保険加入と労働時間延長
人材開発支援助成金社員研修、職業訓練、リスキリング
業務改善助成金賃上げと設備投資、生産性向上
両立支援等助成金育児・介護・不妊治療などとの両立支援
働き方改革推進支援助成金残業削減、休暇促進、勤務間インターバル導入


自社の経営課題や、今後予定している人事施策と照らし合わせて確認してみましょう。


1.キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、パートタイマー、契約社員、派遣社員などの非正規雇用労働者について、正社員化や処遇改善を行った事業主を支援する制度です。

2026年度には、これまでの正社員化コースなどに加え、「短時間労働者労働時間延長支援コース」が新設されています。

このコースは、いわゆる「年収の壁」への対応として、短時間労働者を新たに社会保険へ加入させるとともに、労働時間の延長などによって収入を増加させた事業主を支援する制度です。

活用が考えられる会社

・パート社員や契約社員を正社員にしたい
・短時間労働者の勤務時間を増やしたい
・社会保険への加入を進めたい
・非正規社員の賃金や処遇を改善したい
・長く働いてもらえる雇用環境をつくりたい

正社員化で注意したいポイント

単に雇用契約書の名称を「正社員」に変えただけでは、助成金の対象にならない可能性があります。

正社員と非正規社員について、次のような違いが明確になっているか確認が必要です。

・雇用期間の定め
・昇給の有無
・賞与の有無
・退職金の有無
・職務内容や責任の範囲
・人事異動や配置転換の範囲

また、正社員へ転換する前に、キャリアアップ計画書の提出や就業規則への転換制度の規定が必要になる場合があります。

正社員への転換を実施してから相談しても、申請に間に合わないことがあるため注意しましょう。


2.人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、事業主が社員に対して、仕事に必要な知識や技能を身につけるための研修・職業訓練を行った場合に、研修経費や訓練中の賃金の一部を助成する制度です。

2026年度も、人材育成支援コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コースなどが設けられています。

人材育成支援コースでは、職務に関連する知識や技能を習得するための訓練、OJT付き訓練、非正規社員の正社員化を目指す訓練などが対象となります。

2026年3月からは、人事・人材育成計画に基づいて実施する訓練についても、助成対象となる制度改正が行われています。

活用が考えられる研修

・新入社員研修
・管理職研修
・営業研修
・IT・DX研修
・業務に必要な資格取得研修
・専門技術を身につける研修
・新規事業に必要なリスキリング研修
・非正規社員の正社員化に向けた研修

申請前に確認したいこと

人材開発支援助成金では、原則として訓練を開始する前に、訓練計画の作成や必要書類の提出が必要です。

研修を受講した後に、「この研修で助成金を使いたい」と申請することはできない場合があります。

また、すべてのセミナーや研修が助成対象になるわけではありません。

次のような点を事前に確認する必要があります。

・業務に関連する研修か
・必要な訓練時間を満たしているか
・受講者が雇用保険の被保険者か
・会社が研修費用を負担しているか
・研修中の賃金を適切に支払っているか
・出席状況を証明できるか

研修の内容を決定する前に、助成金の対象になる可能性があるかを確認しましょう。


3.業務改善助成金

業務改善助成金は、事業場内で最も低い時間給を一定額以上引き上げるとともに、生産性向上につながる設備投資などを行った事業主を支援する制度です。

設備投資などにかかった費用に助成率を掛けた金額と、賃金の引上げ額や対象労働者数に応じた助成上限額を比較し、低い方の金額が助成されます。

2026年度の交付申請は、2026年9月1日から受け付ける予定と公表されています。

対象となる可能性がある取り組み

・POSレジや自動精算機の導入
・予約管理システムの導入
・勤怠管理システムの導入
・業務用機械の導入
・作業時間を短縮する設備の導入
・業務効率化に関するコンサルティング
・従業員の負担を軽減する機器の導入

ただし、購入する設備であれば何でも対象になるわけではありません。

その設備の導入によって、どの業務がどの程度効率化されるのかを説明する必要があります。

特に注意したいポイント

業務改善助成金では、原則として交付決定を受ける前に設備を購入したり、賃金を引き上げたりすると、助成対象になりません。

まず計画を立てて申請し、交付決定を受けてから、設備の発注・購入や賃金の引き上げを進めます。

2026年度の事業完了期限は、原則として交付決定を受けた年度の1月31日とされています。納品、支払い、賃金の引き上げを期限までに完了させる必要があります。

設備の納期が長い場合は、申請時期が遅れると間に合わない可能性があります。


4.両立支援等助成金

両立支援等助成金は、社員が育児、介護、不妊治療、女性特有の健康課題などと仕事を両立できる職場環境を整備した事業主を支援する制度です。

2026年度には、主に次のコースが設けられています。

・出生時両立支援コース
・介護離職防止支援コース
・育児休業等支援コース
・育休中等業務代替支援コース
・柔軟な働き方選択制度等支援コース
・不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース

厚生労働省は、2026年度版の支給申請の手引きや各コースの支給要領、申請様式を公開しています。

活用が考えられる会社

・男性社員の育児休業取得を進めたい
・育児休業者の代替社員を確保したい
・育児休業者の業務を担当する社員へ手当を支給したい
・介護休業を取得しやすい職場をつくりたい
・短時間勤務やテレワークなどを導入したい
・不妊治療と仕事の両立を支援したい

助成金だけを目的にしないことが大切

両立支援等助成金を活用するためには、制度を就業規則に記載するだけでなく、実際に利用できる職場環境を整えることが重要です。

例えば、育児休業の対象者が出た場合には、次のような準備が必要です。

・本人との面談
・育児休業復帰支援プランの作成
・休業中の業務の引き継ぎ
・代替要員や業務分担の決定
・復職前の面談
・復職後の働き方の確認

助成金の申請をきっかけとして、育児や介護を理由に社員が退職しなくてもよい職場をつくりましょう。


5.働き方改革推進支援助成金

働き方改革推進支援助成金は、労働時間の削減、年次有給休暇の取得促進、勤務間インターバル制度の導入などに取り組む中小企業を支援する制度です。

2026年度も、労働時間短縮・年休促進支援コースや勤務間インターバル導入コースなどが設けられています。

活用が考えられる取り組み

・勤怠管理システムの導入
・労働時間を把握する機器の導入
・業務効率化につながる設備の導入
・就業規則や労使協定の見直し
・年次有給休暇を取得しやすい制度の導入
・勤務間インターバル制度の導入
・外部専門家によるコンサルティング
・管理職や社員への研修

勤務間インターバル制度とは、勤務終了後から翌日の勤務開始までの間に、一定時間以上の休息時間を確保する制度です。

社員の睡眠時間や生活時間を確保し、過重労働を防止することを目的としています。

申請期限に注意

2026年度の働き方改革推進支援助成金については、交付申請の受付期限が2026年11月30日と案内されています。

ただし、国の予算額に達した場合には、期限より前に受付が終了する可能性があります。

活用を検討する場合は、早めに計画を立てることが大切です。

助成金と補助金の違い

助成金と補助金は、いずれも国や自治体などから支給される返済不要の支援金ですが、制度の目的や申請方法が異なります。

助成金

主に厚生労働省が実施し、雇用、賃上げ、人材育成、仕事と家庭の両立、職場環境の改善などを支援します。

定められた要件を満たしたうえで、必要な手続きを行った事業主が支給対象になります。

補助金

主に経済産業省や地方自治体などが実施し、設備投資、IT導入、新規事業、販路開拓などを支援します。

審査や採択があり、申請しても必ず受給できるとは限りません。

どちらも、支給決定前に契約や購入をすると対象外になる場合があるため、事前確認が必要です。


助成金申請でよくある失敗

1.取り組みを始めてから相談する

助成金によっては、正社員への転換、研修の開始、設備の購入などを行う前に、計画書の提出が必要です。

すでに取り組みを始めている場合、対象外になる可能性があります。

2.就業規則と実際の運用が違う

就業規則には正社員転換制度があるものの、実際には記載された手順で転換していないなど、規程と実態が一致していない場合があります。

3.残業代を正しく支払っていない

助成金の審査では、雇用契約書、出勤簿、賃金台帳などが確認されます。

未払い残業代や最低賃金違反がある場合、助成金を受給できない可能性があります。

4.書類の内容が一致していない

雇用契約書では1日8時間勤務となっているのに、出勤簿や給与計算では異なる時間になっているなど、書類間の不一致が問題になる場合があります。

5.申請期限を過ぎてしまう

助成金には、計画書の提出期限と支給申請の期限があります。

1日でも期限を過ぎると受け付けてもらえないことがあるため、余裕を持った管理が必要です。


助成金を活用する前のチェックリスト

次の項目に当てはまるか確認してみましょう。

□ 雇用保険や社会保険へ適切に加入している
□ 労働保険料を滞納していない
□ 就業規則を最新の状態にしている
□ 労働条件通知書を交付している
□ 出勤簿やタイムカードを適切に管理している
□ 賃金台帳を適切に作成している
□ 最低賃金以上の賃金を支払っている
□ 残業代を適切に計算している
□ 会社都合による解雇を予定していない
□ 取り組みを始める前に助成金を確認している

一つでも不安がある場合は、申請前に労務管理の状況を確認することをおすすめします。


助成金は会社の未来をつくるために活用しましょう

助成金は、単に会社が「お金をもらうため」の制度ではありません。

正社員化、社員教育、賃上げ、育児や介護との両立、労働時間の削減など、会社がこれから取り組みたい人事施策を後押しする制度です。

まずは、自社がどのような会社を目指しているのかを考えてみましょう。

・社員が長く安心して働ける会社にしたい
・社員を育て、会社の成長につなげたい
・採用しても辞めない職場をつくりたい
・業務を効率化して賃上げを実現したい
・育児や介護をしながら働ける職場にしたい

会社の目標が明確になると、自社に必要な助成金も見つけやすくなります。


まとめ

2026年度に中小企業が活用を検討したい主な助成金は、次の5つです。

・キャリアアップ助成金
・人材開発支援助成金
・業務改善助成金
・両立支援等助成金
・働き方改革推進支援助成金

助成金は、取り組みを開始する前の準備が重要です。

「正社員にしてから申請しよう」

「研修を受けた後に助成金を探そう」

「設備を購入してから相談しよう」

このような順番では、対象外になる可能性があります。

何か新しい人事施策を始めるときは、実施前に助成金を確認しましょう。

Lif社会保険労務士事務所では、愛知県豊川市を拠点に、東三河・西三河・遠州エリアの小さな会社を対象として、助成金申請だけでなく、就業規則、労務管理、人材育成、職場づくりまで伴走支援しています。

「自社で利用できる助成金を知りたい」

「社員研修に助成金を活用したい」

「正社員化や賃上げを検討している」

「助成金を申請できる労務管理になっているか確認したい」

このようなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

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Lif社会保険労務士事務所は、“小さな会社の人事部”として、社長が一人で人の問題を抱え込まなくてよい会社づくりを支援します。


※本記事は、2026年8月2日時点で公表されている情報をもとに、制度の概要を分かりやすくまとめたものです。助成金の支給要件、支給額、申請期限、必要書類は、今後変更される場合があります。また、同じ取り組みでも、会社の状況や実施時期によって対象にならない場合があります。実際に取り組みを開始する前に、厚生労働省、管轄の労働局、ハローワークまたは社会保険労務士へご確認ください。