「せっかくなら、助成金を使って社員に研修を受けてもらおう」
そんなふうに社員教育を考えている会社も多いのではないでしょうか。
しかし、2026年(令和8年)8月3日から、人材開発支援助成金の「事業展開等リスキリング支援コース」の取扱いが変更されました。
今回の変更を見て、私たちLifが感じているのは、
これからは「助成金が使える研修を探す」のではなく、会社として人材育成の計画をつくることが、ますます大切になる
ということです。
特に社員が10人、20人と増えてきた会社ほど、研修を単発で実施するだけではなく、
「誰に」
「何を」
「何のために」
「いつまでに身につけてもらうのか」
を考える必要があります。
今回の改正内容とともに、これからの小さな会社の人材育成について考えてみましょう。
変更点① 「DX・AI研修なら対象」ではありません
今回の変更で、まず押さえておきたいのが、DX化・GX化に関する研修の対象範囲です。
今後は、
その研修が、受講する社員の具体的な仕事に必要な知識・スキルなのか
という点が、より重要になります。
厚生労働省の資料には、生成AI研修について、とてもわかりやすい例が掲載されています。
助成対象になる例
営業担当者が、
生成AIを使って商品提案書の構成案を作成したり、文章を生成・修正したりする方法を学ぶ研修
は、営業の具体的な業務に直接活用できるため、助成対象の例とされています。
一方で、
助成対象外になる例
生成AIを利用するための汎用的なプロンプトの作り方を学ぶだけの研修
は、特定業務への具体的な適用を伴わないため、助成対象外の例とされています。
同じ「生成AI研修」でも、結果が違うのです。
大切なのは研修の名前ではありません。
「この社員が、この研修を受けたあと、実際の仕事で何ができるようになるのか」
ここまで考えて研修を選ぶ必要があります。
「とりあえず全員にDX研修」も要注意
DXの概念やデジタル技術の概要、データ活用の考え方など、一般的な知識の習得にとどまり、具体的な業務に直接適用されない内容については、助成対象外となる例が示されています。
つまり、
「今はDXの時代だから、とりあえず全社員にDX研修を受けてもらおう」
という考え方ではなく、
「営業チームには、この力」
「管理職には、この力」
「事務担当者には、この力」
というように、役割と必要能力を結びつけることが重要になってきます。
これは助成金だけの話ではありません。
社員教育そのものを考えるうえでも、とても大切な視点です。
変更点② 「誰が受けるのか」も重要です
同じ研修でも、誰が受講するかによって取扱いが変わるケースがあります。
厚生労働省資料では、
自社のエネルギー使用量データの収集方法やCO₂排出量の算定方法を学ぶ研修について、実際にその算定業務を担当する社員であれば助成対象になる一方、人事や営業に従事する社員の場合は対象外となる例が示されています。
ここから見えてくるのは、
研修内容と、社員の役割をセットで考える必要がある
ということです。
「良さそうな研修だから受けてもらう」
ではなく、
「この人には、今後この仕事を任せたい。だからこの力を身につけてもらう」
という育成のストーリーが必要になってきます。
変更点③ eラーニングは年度内1回まで
もうひとつ、大きな変更があります。
本コースで助成を受けられる訓練は、同一労働者について1年度3回までですが、そのうちeラーニングによる訓練は1年度1回までとなりました。
この取扱いは、令和8年8月3日以降に提出された計画届に基づく訓練から算入されます。
そのため、
「今年はこのeラーニング」
「次は別のeラーニング」
と、その都度研修を選んでいると、せっかくの制度を十分に活用できない可能性があります。
だからこそ、最初に考えておきたいのが、
1年間の人材育成計画です。
これからは「研修を選ぶ」前に「人材育成計画」をつくる
私たちは、今回の制度変更を単なる「助成金のルール変更」とは考えていません。
むしろ、小さな会社の人材育成を見直す良い機会だと考えています。
たとえば、
「管理職が育っていないから管理職研修をしよう」
ではなく、
1年後、管理職に何を任せられる状態にしたいのか。
「AIが流行っているからAI研修をしよう」
ではなく、
AIを使って、会社のどの仕事を変えたいのか。
「新人が入ったから新人研修をしよう」
ではなく、
半年後、その社員にどこまで仕事を任せたいのか。
ここから逆算して教育を考えていきます。
研修は、あくまで人を育てるための「手段」の一つです。
大切なのは、
会社がこれからどうなりたいのか。
そのために、どんな人材が必要なのか。
今いる社員に、どんな力を身につけてもらうのか。
を整理することです。
社員が増えたら、「社長の頭の中」だけでは回らなくなる
社員数が少ないうちは、
「あの人には、次はこの仕事を任せよう」
「この社員には、もう少し営業を覚えてもらおう」
と、社長の頭の中だけで人材育成ができることもあります。
でも、10人、20人、30人と社員が増えてくると、それだけでは難しくなってきます。
誰に何を期待しているのかが伝わらない。
上司によって教え方が違う。
研修を受けても現場で活かされない。
頑張っている社員も、自分が何を目指せばいいかわからない。
そして結局、
「人のことは全部、社長が考える」
状態になってしまいます。
だからこそ、社員が増えてきた会社には、
「自社は、どんな人を、どう育てていくのか」
という人材育成の設計図が必要です。
助成金を使うためではなく、「人が育つ会社」をつくるために
助成金は、とてもありがたい制度です。
使える制度は、ぜひ上手に活用したいものです。
ただし、
「助成金が使えるから、この研修をやる」
という順番にはしたくありません。
Lifが大切にしているのは、
会社に必要な人材育成を考える
↓
必要な研修・教育を決める
↓
その中で活用できる助成金を検討する
という順番です。
助成金は目的ではなく、人を育てるための手段。
今回の改正をきっかけに、一度、自社の人材育成を整理してみてはいかがでしょうか。
「うちの会社、誰をどう育てればいいんだろう?」からご相談ください
Lifでは、単に研修をご紹介するだけではなく、
「これから会社に必要な人材をどう育てていくか」
というところから、経営者の皆さまと一緒に考えています。
たとえば、
- 今後どんな人材が必要なのか
- 管理職に何を任せていきたいのか
- 若手社員をどのように育てるのか
- 誰に、どんな研修が必要なのか
- 1年間でどんな順番で育成するのか
- 活用できる助成金はあるのか
こうしたことを整理し、自社に合った人材育成計画につなげていきます。
「研修をした方がいいとは思うけれど、何をすればいいかわからない」
「管理職を育てたいけれど、どこから始めればいいかわからない」
「助成金も活用しながら社員教育を進めたい」
そんな段階で大丈夫です。
社員10名を超えたら、そろそろ“人を育てる仕組み”を。
人の問題を、社長ひとりの問題にしない。
Lifは、小さな会社の人事部として、労務だけでなく、人材育成まで一緒に考えます。
まずは、自社の人材育成についてお気軽にご相談ください。
※今回の変更には経過措置があります。実際の助成金申請については、計画届の提出時期、訓練内容、対象労働者等によって取扱いが異なる場合があります。申請時には最新の支給要領・パンフレットをご確認ください。

